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 瓦礫の山で眠る少女を目覚めさせたのは天から落ちてきたそのナニカだった。


 ガシャン! 

 と何かが崩れる大きな音と共に降ってきたソレは緑色の布にくるまれており、遠くからでは中を確認する事が出来ない。
 この部屋には一定の時間になると天から物が降ってくる。

 殆どの物がぬいぐるみや玩具本等、娯楽物が多いのだが、今落下してきた音はそれらとは違う物の様だ。そもそもこの時間帯に物が落ちてきた事は今まで一度も無かった。

 等の本人はその様な法則に一切気が付かず、只落下してきた物にゆっくりと近づきその布を勢い良く引きはがした。

 引きはがした布に何かが引っかかっていたのか、遠くに飛んで行った中身の一つが軽い硬質の物の音を出しながら転がってゆく。そして、それと同等の音が目の前の布の下からも聞こえてくる。


 大地を跳ね、“カランカラン”と鳴る白色のソレは、大小さまざまな物が有り、棒状の物から球体の物、小さな欠片の物など細かく分類されていた。落下した音は目の前の硬質物が砕けた音、大地を跳ねる音はパーツの一部が転がった音だったのだろう。
 硬質の白いそれは一切動く事は無く、少女からはその他の玩具とそう変わらない様に見えた。故に少女が初めに興味を持ったのはその硬質の物ではなく、一緒に包まれていた一枚の紙だった。
 
 長年置かれていたのか所々傷んでおり色あせてはっきりと内容を読み取る事が出来ないが、それは一枚の写真であった。

 下の方は色あせており良く見えないが上の方ははっきりと見る事が出来る。


 【星空】

 少女の持つ写真には本や文献で描かれていた星空の写真であった。
 

 先程手を伸ばして届いた天に広がる紛い物では無い。

 手の届く様に見えて届かない遥か彼方にある頂きの景色、本物の星空がその紙の中には確かに存在していたのだ。


 初めて見るそれに少女は身を振るえさせながら歓喜する。
 あぁ、これが本当の星空だと、この世には本物の星空が存在するのだと。


 少女は天を見上げ思う。

 見たい、見てみたい。
 頭上に広がる紛い物の星空では無く本当の星空、誰もが恋し恋焦がれその手に掴もうと伸ばしたが掴む事が出来ない孤高の輝きの数々、その姿を一目見たいと。
 


 少女は気が付けば積み上げたガラクタの山に向かって走り出していた。
 崩れる山を駆け上がり再び天井の真下へとたどり着いた少女は、
背中に浮かぶ無数の黒い板状の刃に向けて強く念じる。
 

【この天井を、偽りの空を壊して私に自由を、空を見に行く道を切り開いて】
 
 無数の刃は彼女の願いをかなえる様に縦横無尽に宙を舞い、偽りの空を次々と切り裂いてゆき、
文字通り天を抜ける道を切り開いた。


 それと同時に部屋全体を包み込むように赤い光が点灯し大きな音が一定間隔で鳴り響きだした。


『最深部にて異常発生、最深部にて異常発生、状況を確認し速やかに……』
 

 何度も同じ音が繰り返される。

 だがそんな事少女にはどうでもよかった。

 耳に入ってくる全ての音は今の少女には届かない。
 少女は開かれた穴の先を見つめ手を伸ばす。


 この先に本物の星空が有ると夢見て。
 

Presents:​星屑コノハ

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